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お風呂を終えて。ユニットバスのなかの水気を丁寧に水はけで排水口に落とした。お風呂に入ったらしっかりと水切りはしなきゃだめなのだとお風呂に入る前にナミに口酸っぱく教えられた。確かに、カビになったら困るものね、と真剣なようすで頷く美子と、船内に水気は厳禁だからと言っているナミとは思うところは違ったけれど、行きつくところは一緒だったのでそれで良しとした。
ナミから渡されたふかふかのタオルと、オーバーサイズのTシャツにショートパンツのデニム。ナミちゃんスタイルがいいからなあ、と着るときまでおっかなびっくりだった美子も。オーバーサイズのTシャツはすんなりと入った、丈も余っていてお尻はすっぽりと隠れるようになっている。ショートパンツのデニムは悲しいかな、美子のお尻はナミよりもいささか大きかったらしい。ホックが閉まらず、わかっていたけれど少しだけ涙した。まあ、Tシャツ大きいから大丈夫かと留まらないホックに関しては悩むことをやめた。

ユニットバスからそおっと顔を出す。ナミはお風呂から出たら、先ほどいた部屋(足もとに床下収納みたいに扉がついている先)ではなく、お風呂を出て視線の先にある扉を開けて出てきてと言っていた。夢の中はどうやら土足文化で、お風呂あがりの美子は外靴を履いて、扉に近づいていく。脱衣場ではないこの場所には見るかぎり、食料品と宝箱、樽に、ーー大砲まである!
触るのは怖いから遠巻きに、おずおずと眺めて、逃げるようにパタパタと走り扉を開いた。


ーー頬を撫でる潮風に、眼前には途方もないくらいの大海原。


「わああああ!」

自分のいる場所が船であることを、初めて認識をして。美子は目の前に広がる光景に喜びを隠せなかった。勢いのままに船の欄干にまで駆けて行く。欄干をぎゅうと握りしめて、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら身を乗り出し船の進行方向を見つめている。
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