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「どうするの、この子?」

ノジコがナミに投げかけたのは、美子のこれからのことだ。行く宛もない様子で、お金の使い方ひとつ分からないであろう美子をこのまま放り出すわけにも行かない。
ココヤシ村に滞在させるという手もある。ノジコのことだ。気さくな人がらだし、美子もまた懐っこい性格をしているからうまくやっていくことが出来るだろう。しかし、だ。


ーー事情が変わった。

ーーお前の"それ"は、価値のあるものだ。おれが使ってやってもいい。


アーロンが美子に言った言葉が、ナミの胸のなかで引っかかっている。最初は興味をみせる素振りもなかったのに、再び美子を見たあの日、アーロンは美子を手のうちに囲った。真綿で締めるようにやさしく、鉄のように頑丈に。なにが理由かはナミには分からない。ただ、美子はこれからおそらくアーロンみたいな奴らから身を狙われる。平穏になったこの島で、戦う術を持たない美子はなすすべもなくナミのように拐われ蹂躙され、飼い殺されるのを待つしかなくなってしまう。

「一緒に連れて行くわ」

決意を口にした、ナミの瞳の意志はかたい。

「あたしが拾い上げた命だもん」


それはある日の、ある島で。4人の男たちが並ぶなか、ノジコに言ったことと同じことをナミは口にする。麦わら帽子を海賊旗に背負う船長は、ナミの小難しいはなしはさておいて「んん、わかった」となにも理解していない口調でうなずき。


「そいつを仲間にする!」


と、大きく宣言をした。
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