「佑麻ちゃん!大きくなったらさ、俺と………」 Episode 1 「もう行くのか?」 誠は佑麻にそう聞くと静かに俯いた 佑麻は今日、田舎から東京という都会に移る 念願の都会での生活を始めるのだ それなのに、誠と同様、周りの家族や親戚、友人があまりにも寂しそうな顔をするものだから、あんなに喜んでいた本人までもが、その表情を曇らせていた 「うん、」 「気をつけてね」 「無理はするなよ」 母や父の声を聞き、佑麻はたった一言"行ってきます"とだけ残してその場を去った "私は大丈夫だから、安心して" "頑張るからね" "今までありがとね" 言いたいことは山ほどあった それに誠にだって、伝えたかった想いがある しかし、それを口にしたら心に留めていた感情を抑え切れなくなってしまうじゃないか 都会に出ると決めたのは自分なのに、弱音なんて情けない 電車の中で一人、頬に雫を散りばめた |