そんなこんなで私は彼女に一目惚れをしたわけだが、彼女の名前は夜月蒼というらしい
しかし調べて分かったのはたったそれだけ
どこに住んでいるのか、何が好きなのか、趣味は何なのか、聞きたいことは山ほどある
聞きたい、知りたい、けど会えないから不可能
先ほどの会話でも言ったとおり、もう会えることなどないかもしれない相手を想うのは、つらい。
彼女の笑顔がこびりついて離れないのだよ
私はどうすればいい
行き場のないこの気持ちが、ただ浮遊して熔けてゆく
あの日から頭の中を支配するのは彼女のことばかり
しかし彼女には会えず、時間だけが刻々と過ぎていく
イライラが募り、ついに耐え切れなくなった私は仕事そっちのけで外に飛び出した
そしたら目の前に広がる世界が急に色を変えた
鮮やかに彩る世界が、私を包んでゆく
これを奇跡以外の何と呼べばいいのだろうか
前方を歩く女性
その人は私が胸を焦がしてやまなかった彼女だった
そうか、一目惚れも悪くない
彼女を見ただけで、こんなにも乾ききった心に潤いを与えてくれるのだから
険しい道のりが待ってるだと…?
上等だ。何としてでも手に入れて見せる
今行きますから、私の愛しい人
貴方が私の世界になった日
(この想いはいつ伝えればよいのだろうか。胸が張り裂けそうで、溢れる感情を抑えることなど、無理だ。後戻りはできない)
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