『あのお星様が欲しいの』


小さい頃から夢見てきた

何があっても叶わないなんて分かってる

だけど捨てられない




"いい歳こいて、何言ってんの"


"何かあったの?"



今まで出会った人は皆そう言った


仕方ないよね

寂しいよね




だけどね、彼は違った


「俺も欲しい!!いつか、一緒に取りにいけたらいいな!」


初めてだったの


拒絶をせず、受け入れてくれた人は




燐くんと出会ったのは、星が見えるこの丘


その日は夜なのに地平線がくっきりと弧を描いていて、とても綺麗だった




いつも明るくて、笑顔が素敵で

私の心を満たしてくれる彼


恋なんだと気づいたのはつい最近


嬉しかった

自分の気持ちがはっきりして




それなのに


どうして?


私は遠くに引っ越す事になってしまった


もう燐くんとは会えないだろう


それが無償に辛くてつらくて


心は割れたガラスだった


破片が飛び散って、どこにも見つからない



また今晩も丘に行く


これで最後なんだ



『うみ!!』


「燐くん…?」


「明日引っ越すんだって!?」


『なんで知って「そんな事はどうでもいい!一緒に夢叶えようって約束したじゃねぇか!!」


『ごめん、』


「……これ」


燐くんの手の中にあったのは星のネックレスだった


「本物の星じゃねぇけど、これで我慢しろ」


『燐く、ん、』


「…何泣いてんだよ」


泣いてごめんね
でもね、溢れる感情を抑えきれないの


燐くんから貰った星はどんな星よりも輝いていて

私の長年の願いが叶ったことを物語っていた



『ありがとう、燐くん。大事にする、ずっとずっと』


「あぁ。それとな、見ろ!俺とペアなんだ」



そう言ってポケットから出したのは私にくれたネックレスと全く同じものだった


「どんなに遠くてもこの二つの星が俺らを引き合わせてくれる。いつでも、お互いがお互いを求めて引き合ってんだ」


『うん』


「うみ、好きだ。同じ空の下にいる限り、どこにいても、俺はお前と一緒にいるから」


『うん!!』


燐くんに抱きしめられた瞬間に染み渡る温もり


涙は沢山の流れ星が運んでくれた






星屑に涙をのせて

割れたガラス
無くした破片の変わりを埋めてくれたのは貴方がくれた一番星だった




………………………

燐がくさいセリフとか(笑)