買い物の帰り道。たくさん買い込んじゃったー。なんて独り言を零しながら道を歩けば無能力者の集まりに出会った。
闘う気もなかったし軽くあしらったら何故か追い掛けられた。これなんていじめ?
さらには無能力者が放った最新型の銃弾が面白いくらい脇腹に当たり、お気に入りの服に赤いシミみをつくった。畜生、クリーニングでも助からないよこれ。
とりあえず返り討ちにして揚々と自宅へ帰れば鍵がポケットの中から家出(という名の消失)をしていた。

どこかの不幸少年よろしく「不幸だ…」と自分を嘆き、ドアを蹴破った。そういえばなんで買い物してたんだっけか。


「よォ名前チャン、待ちくたびれたぜェ」
「スミマセン、お部屋間違えました。」
「待てやコラ、テメェ買い物はどうしたァ?」
「え、えっとー…アハハ」


 思 い 出 し た !


さも自分の物のように私のソファで偉そうに座っている白いの、もとい学園都市最強の一方通行にパシ…お使いを頼まれてたんだった。結構な量の缶コーヒーと夕飯のおかずになるもの、全てが入った買い物袋を放り投げたことが鮮明に蘇る。
だってあの時は夢中だったんだもん。


「しかもテメェ、オレが腹空かして待っててやったのにスキルアウトと仲良く楽しく夜遊びですかァ?」
「え…っと、あれは正当防衛であって…?」
「あァ?」
「ちょ、痛い痛い!脇腹!傷!傷口にクリーンヒットしてるぅぅぅぅぁあ!!」

ベクトル制御して強化された彼の蹴りが見事に脇腹に当たった、閉じかけた傷口は再度開きじわじわと痛みがまた訪れる。


「ご、ごめん…あくせら、流石の私も血が足りなくなってきてるのよ?ん?あれ、見知らぬおじいさんとお花畑が見える…」
「ンなことより何か言うことはないんですかァ?」
「えー……夕飯は仕方ないから食べに行こっか☆」
「…………」
「ごめんなさいもう夜遊びしませんだから無言でアイアンクローは勘弁してくださいってか生身相手にベクトル使う必要ないでしょ」


ギリギリと軋む頭蓋骨とじわじわと広がる脇腹の赤、正直もう立てない。ってか何が原因だコレ、買い物か…そういえば私に買い物させたのは一方通行じゃないか。


「わかってンじゃねェか」
「まぁね…ぅえ、もう立てない」
「ハッ、弱ェな」
「余計なお世話です」


んべ、と舌を出したらもう二発脇腹を蹴られた。痛ぇ、と思ったときには視界はぐらぐらとゆれて次第に真っ暗になった。




―イチャコラじゃないですよね―

(おいコラ、飯食いに行くぞ)
(……………)
(気絶して…いや、寝てやがる)