先程から出会った巨人達をなぎ倒していくが、どうしてか絶命してくれない。
目を潰してもしばらくたったら再生するし腕や足を切り落としても死ぬということがない。挙げ句、心臓を狙っても何も意味をなさなかった。いったいどうしたものかと頭を抱えたくなる。それに、私はここに来てから巨人以外の動物に会ってない。もしかしたら私は帰れるまで巨人の相手をし続けなければいけないのだろうか。


「あーもう!でかいくせに死なないし、だからといって何かしてくるわけでも芸があるわけでもない。つまんないよあんたら。何かないの?」


目の前で倒れ伏す巨人に話しかけたつもりだが、これといって良い返事がくるわけもなくその場にがくりと項垂れる。いらいらしてきたのもあってか、目の前にあった首にさくり。硬をした手刀を入れてみたら、訳のわからない呻き声はぴたりと止んで巨人は絶命した。は?なに?こんなにあっさり?
さっきまでのイライラと緊張感が抜けて、死んだ巨人にもたれるようにして息をつく。


「……っ」


体勢を戻した途端、いくつもの視線を感じた。
この視線は巨人から受けたものとは明らかに違う、警戒と焦燥と好機。いくつかは殺気まで出ている始末。気配からして恐らく、人間。ああ、もしかしてこの世界の唯一救いを求めるべき人間を敵にまわしてしまったかな。


「動くな」


素早い動きで背後をとられ、下手な動きを見せる訳にもいかず両手を挙げて降伏。
首もとに突き付けられた刃物。今まで見たことないタイプの刃物だなあなんて考えは頭の隅に放った。


「いくつか質問する。余計なことは言わずに簡潔に、偽りなく答えろ」
「はいはい」


目だけで周りを見れば、どこかの武装集団よろしく同じ服装に同じ武器を持った人間達が周りを囲っていた。警戒はとかず、じっとこちらを観察している。やっぱり人間はこれくらいの大きさじゃないとね。


「貴様、何者だ?」
「何者って、うーん…旅人?」
「…見ない顔立ちに見ない服装だな」
「そりゃあ初対面だしね、とあうか私からしてみれば貴方達の武器とかの方が見たことないよ。何その服装、どこかの部隊?」
「質問してるのはこっちだ」
「ちょ、刃ぁ入ってますって。短気は損気ですよ」


少しこちらからも探りを入れたくて、挑発的な態度をとれば私の背後を取っている人間は武器を持つ手に力をいれた。ぷつりと皮が切れて血が首を流れる。

見たところ念能力者ではないただの一般人といったところだろうか、後ろにいるコイツと目の前で睨んでくる奴は微かにオーラを感じたが、念能力者のもつそれではない。


「隊長、あまり長居すると奴等が来ます」
「まだ質問は終わってはいない」
「…せめて、場所を変えましょう」
「…あぁ」


後ろにいる奴と隊員らしき女性が会話を終えると、挙げていた両手を荒々しく縛られて干されている布団のように乗せられた。




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リヴァイ兵長早く出したい