垣根の手を取って、それから覚えていない。目が覚めたらカエル顔の医者がいて、ああここは病院のベッドかと理解する。
腹部と頭部の打撲が酷く、いくつか肋骨が折れているらしい。もう少し入院だね、とカエル顔の医者に言われた。
安静にしなさいと看護師にベッドへと押し込まれたけど、入院ほど退屈なことはない。こっそりと抜け出してカエル医者のところに悪戯しに行ったらなんかヤバそうな注射を射たれそうになった。医者ってコワイ。

ああでも、数少ない友達の美琴ちゃんに入院していることがバレてお見舞いに来てくれたことは少し嬉しかった。無駄に世話を焼いてくれる美琴ちゃん可愛いかったなあ。入院万歳。
それから数日経たないうちに退院の許可が下りて、今病院から出たところだ。

久しぶりに空の下を歩ける事が酷く嬉しい。自分はまた、自由になれただろうか。


「…あ」


見覚えのある茶髪に思わず足を止める。近付いてくるそれになにも出来なくて目の前に迫った影に身体が強張った。


「名前」
「」