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「……神の塔(オリンポス)どころか、リトホロもまだ遠いな」
  文明の地デザルタ。この地球上――パンゲア・ウルティマ大陸の中枢部と言われる地に、レイは来ていた。
 目的地はこのデザルタ内に存在しているのだが、全ての国家が統一され「デザルタ」で統一されてしまった今では、いくら地理的には内部に居るとは言えど、距離的には遠すぎる。
 レイが目指すリトホロ――「神の街」は、デザルタの中心。
 現在レイが居るのは――デザルタと、「未開の地」シビルの境界地点。
 ……人力で行くには、中々遠すぎる距離だった。しかし、レイには徒歩以外の移動手段は無いに等しい。その理由としては、第一に――――
「おい、アイツ、レイ=ザ=スカイじゃねえか!?」
「あの髪型と服装……間違いない」
「逃げろ!! 斬り殺されるぞ!!」
 レイを見た人間が、一斉に散っていく。
――第一に、そう、レイは世間的な身分で言うと「犯罪者」なのだ。
 「悪を裁く」という理由で、レイ自身の思う罪人を裁きつつ彼は世界中を回っているのだが、「罪人を裁く」となると――彼の中でその手段は、殺す、しかない。
 そのため、悪人とはいえど人を殺し続けているレイは、最早彼自身が犯罪者として追われる身になってしまっているのだ。なんとも皮肉な話だが、当然の結果だ。
 そのため、飛行機に乗る、船に乗る……などの行動が一切できない。そうしようとすれば、審査で引っかかって間違いなくAMUSに連行されるだろう。
 かといって乗り物の強奪をしようにも、余罪が増えるだけだ(最も、余罪がどうのという話の前に殺人罪だけで死刑レベルなのだが)。
 それらのこともあって、レイにできるのはただ「歩く」ことだけだった。
 現在地からすれば遥か東の地、ラポニカからもう幾年もかけて、ここまで罪を裁きながら渡り歩いてきたレイだが、ここまで来ると普通に道を歩くこともままならなかった。
 道を歩く度、AMUSの追手やら、民間の警備隊やらに囲まれる始末だ。
 そして、今もまた――。

「止まりなさい! レイ=ザ=スカイ!」


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bkm
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