手のひら


ようやく見つけたと思ったら、彼は屋上の真ん中で眠っていた



「おーい、楓。もう昼なんですけど」



ぺしぺしと頬をたたく

するとむくりと起き上がった

しかしまだ目覚めてはいない

だって目が閉じてるし



「かえでー?」



こっくりこっくりと船を漕いでいる

私は急に思いついて、それを実行した









「楓っ!!」



びくっとして、彼の目が開く



「…よう」



「おはよう。もう昼だけどね?」



それから彼の前にコンビニの袋を置く



「ほい、君の昼食。鞄の中から勝手に取ったけどいいよね」



頷く彼

まだ眠そうだ

もそもそとパンを食べ始める



「そんなんばっかじゃ、体に悪いよ?」



「ヘーキだ」



「あ、そう」



呆れ半分で見つめながら、弁当を食べ終わる



「ごちそうさま」



彼もペットボトルのお茶を飲んで、袋を丸める



「午前中サボったんだから、午後くらいは出なよ?」



「……」



黙りこくった

あ、サボるなこいつ



「名前が弁当作ってきてくれんなら考える」



「私を遅刻させるつもり?それに得意じゃないの。知ってるでしょ?」



まだ彼は気づかない

ま、寝起きだもんね



「そろそろ戻ろっか」



スカートの裾を払う



「ね、楓。何か気付くことない?」



楓はきょとんとこちらを見た

じっくり見つめる



「…髪切ったか?」



「切ってないわよっ!!私じゃなくて、君のこと」



自分の体を見回す楓



「…っ!」



手のひらを見て珍しく、彼の無表情が崩れる

私は彼に背を向け歩き出す



「…どあほう」



顔だけ振り返った



「どっちがかなー?」



鼻歌を歌いながら笑った

楓の手のひらにペンで書き込まれた文字

楓は笑う口元を隠す

その頬が紅く染まっているとも気付かずに








『だいすきっ!!』









あとがき

初めての短編だったんですが

あ、甘くない…

こんなんでよければ
かおり様もらってやって下さい

後は煮るなり焼くなり…




20100221



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