屋上で寝ていると山本が来た



「如月ー、担任が呼んでる」



「…山本か」



下から見ると感じ違うなあ

それにやっぱり、私と話すときは顔が強ばるんだね

緊張した時みたいに



「やまもっちゃーん」



そう呼ぶと少しむっとして



「何だよ、その呼び方」



構わずに私は言った



「好き」



「オレも好き」



一瞬唇を噛みしめる

がばっと起き上がり山本に笑いかけた



「…わざわざありがと。先生んとこ行ってくんね」



「あ、如月」



振り返る



「あのよ、いつも『好き』って言ってくれるだろ?」



言いにくいのか、ぽりぽりと頬をかく



「あれ、やめとこーぜ。な?ほら、誤解されると困るし」



頭が考えることを拒否しそうになった

一度小さく深呼吸する

そうでもしないと動けなさそうで




私は黙って山本に近付いた




バシンッ



「ってぇッ!!」



思い切り背中をたたいてにっと笑う

山本が涙目に見えるけど気のせいだ



「なんだあ?誤解されて困る人でもできたか?」



「や、あのな、」



「ま、いーけどさ。仕方ないからやめてやる。後悔すんなよ?」



笑いながら彼に背を向けて屋上を出た









担任に頼まれた資料を、紗希をひきずってなおしに行く



「うわっ、すごい埃」



紗希が手で宙を扇ぐ



「やめてよ紗希。こっち来るじゃん」



「こっち来なきゃいいのよー」



「うわ、ここに殿がいる」



「うむ、良きにはからえ」



笑い合いながら片付けていく



「そういえばさあ、」



ぽた




咄嗟に手の甲で目を押さえる



「結?」



「や、ごめん鼻水」



「汚い」



それから紗希は私の前に来た

ぺしっと私の額をたたく



「うそつき」



「紗希、うー…」



零れる涙を何度も拭う



「…私の気持ち、何にも伝わってなかった…」



「うん」



「もう、好きって言うなって」



「うん」



「だったら、どうすればいいのよ…っ」



紗希はただ、私を抱き締めてくれた




前も今も、ずっとあなたに恋してる

ずっとずっと




だけどあなたはそれに気付きもしない

その上私を遠ざけるの

ひどい人

振られてもいない私は、友達を続けるしかないじゃない






20100222

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