休み時間、驚くべき事が起こった 「山本くん、好きです」 いつものように、山本に告白する女の子が来ていた 「あー、うん」 いつもと違って歯切れの悪い山本 頭をかきながら女の子を見る 「…それって告白の『好き』?」 クラス中が目を見張った あるいは息を呑んだ 山本が あの山本が 告白だと認識した 「どうした山本!熱あるんじゃねえか?!」 いつもは遠巻きに見ているクラスの男子が群がる 女の子は女の子で、他とは違う態度に期待したように山本を見つめている 男子の群れを押し返すと、山本は苦笑しながら女の子に向き直った 「告白の『好き』ならオレは答えられねーや」 「えっ、な、なんで?!」 期待しただけにショックは大きかったのだろう 女の子が少し食い下がった 「好きな奴いるから…。わりーな」 それを見ていて思わず口元を押さえる うわー、やっちまった あいつ好きな子いたんだ キスしちゃったよ 周りが騒ぎ出す あちこちで山本の好きな人を予想して名前を挙げている だから「好き」って言うのやめろって言ったのか 騒がしくなった教室から逃げながら、そんな事を思った 20100228 [*前] | [次#] ページ: 戻る |