何かが前髪に触れた

髪が流れて頬をくすぐる



「んー…」



ゆっくりと目を開く



「おい如月」



声にまばたきして

がばっ

飛び起きた



「うっわごめん。爆睡してた」



「こんなとこで寝るなよなー」



山本の声を聞きながら慌てて荷物をまとめる

くあ、とあくびをしながら立ち上がった

学校を出て山本の家に向かう



「お前いつも放課後あそこにいるのか?」



「いつもじゃないけど、だいたい?」



信号に差し掛かった

赤信号に足を止める



「そんなに好きなんだなー」



「え?」



目を丸くして山本の横顔を見つめる

もしかしてこれ、伝わっ、



「本読むの。ちょっと意外だけどな」



ってない!

全然伝わってないっ

期待して損した



「確かに読書は好きだけどね…」



呆れてため息も出ない

この天然やだ

ほんとやだ

青になった信号にとぼとぼと歩き出した







20100226

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