早再会




痛む背中に内心眉を寄せつつ、注文の品を運んだ

喫茶店の扉が開く



『結、悪いけど行ってくれるか?』



手が放せないらしい店長に答え、客を迎える



『何名様ですか?』



メニューを取り出しながら尋ねた



『八人』



その多さにメニューをもう二つ加え、場所を考えながら案内する

端の二人用の席を四つくっつけてメニューを置いた



『決まりましたらお呼び下さい』



(あー、ヤバい)



カウンターの方に行きながら、どうしようか考える

先程の客は先日のターゲット達だった

顔はバレてないはずだが、声は聞かれている

比較的低い声であの時は話したが、声質とかでバレるかもしれない

とにかく近寄らないのが一番だ



『店長、キッチン代わります』



『そうか?じゃ頼む』



この店は店長と、店員の結の二人で商っている

今抜ける訳にはいかない

幸い、ここはコーヒーが売りで食べ物は軽食ばかり

結でも作れる

注文が一段落ついて、手元のブレスレットをなぞっていた時



『結、お客さんが呼んでるよ。さっき来た八人組の…』



内心の焦りを表に出さず、首を傾げる



『何でも昔の知り合いに似ているからそうじゃないかって』



(そう来たか。でも残念)



『あの人たち、日本人でしょ?私日本に住んだことないんで』



人違いです、と微笑む

タイミング良く注文が入り、店長に断るように頼んだ







30100305

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