彼救出




「(こいつら、あほか?)」



「(そうですねえ。味方が帰ってこないのにも気付かないとは)」



小声で言葉を交わす

二人は今、マッツィータのいる部屋の入口の外

相手は談笑していた




骸のように、信用されてないとは言え、こういう軽口をたたいてくれる相手だとやりやすい

ガチガチに警戒している人よりも、連携が取りやすいからだ



「(ほな、行ってくるわ)」



骸が頷くのを見て、机を足掛かりに棚へと上り、天井を覆う排水管によじ登る



「(猿みたいですねえ)」



と声がしたようだが、気のせいだろう




縛られたマッツィータの真上に移動する

無線機に向かって準備完了の合図を送った

全員からの了解を受け、突入の合図



「GO」



ピアス型の起動スイッチを押す




ドカァン!!




巨大な爆音

トラップの一つ、威力はないのにやたら音が大きい爆弾を起動させた

敵の集団の注意が外に向く

その間に音もなく着地すると、驚くマッツィータの縄を切った

そのまま彼を敵から離れるように誘導する



『うわっ』



ガシャアンッ
大きな音を立てて、マッツィータはつまずいた

敵が気付く

息をつきながらマッツィータを助け起こした

それから苦笑する

ボンゴレの人達に、「店長は絶対ドジやらかす」と言ったのだが



「結の言った通りだな!」



山本が刀を手に突っ込んでくる

それより早く、敵の一人が結達に銃を向けた

中々対応が早い

珍しく女の子の戦闘員だ



『っ』



マッツィータが息を呑む

彼を安心させようと、結は自分の後ろに彼を引っ張った



『すっごい好み!』



しかし次にこぼれた声に脱力しそうになる



『どうしよう結!ハートを射抜かれそうだ!』



『その前に心臓撃ち抜かれますよ』



呆れかけたが、彼の声がいつもより上擦っているのに気付いた

状況に頭がついていかないのだろう

そんな彼に、巻き込んだ張本人である結は何も言えず、相手と向き合った

素早く懐に潜り込み、足を払って蹴り飛ばす

すぐに違う戦闘員が二人に銃を向けた

しかしその指が引き金を引くことはなかった

戦闘員はどこか宙を見て怯えたように震え出す

その拍子に銃が落ちた

彼は何事かを喚きながら走り出し、壁にぶつかって気絶した



「どーも。助かったわ」



「いえいえ」



骸は笑いながら、他の人達にも同様に幻術をかけていく

敵を制圧するまでそれほど掛からなかった



『はーい、ちゅーもーく』



手を叩きながら、結が声を掛ける



『この中でリーダーは誰?』



誰も口を開かない

結はボタンを取り出し、押した

ドカーン!

すぐ近くで音がする

敵の集団はぎょっとしてそちらを見た



『はい、最後のチャンスね。リーダーだーれだ?』



ボタンに指を当て、彼らに見せつける



『『『あいつです』』』



一斉に一人の男が指される



『いい子♪』



結は微笑んだ






20100502

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