策実行




ふらふらと歩く男の背後から首筋に手刀を入れ、気絶させる

とりあえず店長のマッツィータの安全が第一と、地道な作戦に打って出た

一人一人気絶させていき、戦力を削ってから制圧、と至ってシンプル

これがものすごい面倒

二人一組でペアになり、先を急ぐ



「ええなあ、幻術。めっちゃ楽やわ」



素直に感嘆する

ペアになった彼は眉を顰める



「…あなたはマフィアが嫌いなのでしょう?」



「マフィアという集団が嫌いなんであって、それを構成する一人一人は嫌いやないで」



すると彼は、クフフと変わった笑い方をした



「僕もね、昔は嫌いだったんです。マフィアをね」



視線で問いかけたが、余裕の笑みでかわされてしまう



「それにしても、大の男を一発で気絶させるなんて、凄い馬鹿力ですね」



「あっはっは。しばくぞワレ」



こんなふざけた会話をしている間にも、二人は次々と敵を気絶させているのだが




ひゅっ




何の前触れもなく、骸は結に三叉の槍を突き付ける



「…僕はあなたのことを信用してません」



その言葉に結は可笑しそうに笑った



「そんなんお互い様やろ。言ったやん。これは共同戦線。たまたま利害が一致しただけや」



刃を突きつけられてなお、笑ってみせる

しばらく見つめ合った後、骸は槍を下ろした

何事もなかったかのように、二人は歩き出す



「てかな、私よりもそっちのボスをどうにかした方がええって。あんな甘ちゃんでやっていけんの」



命を狙った結に仲間になれと言ったり、一緒に助けようと言ったり

簡単に人を信用しすぎなのではないか




骸はそれにまた笑う

今度は少し柔らかい笑み



「仕方ありませんよ。彼の性格なんですから。十年前から変わりません」



昔を懐かしむように目を細める骸

結はそれを見て、少し羨ましそうに笑った






20100502

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