仲勧誘




「で」



結は頬をひきつらせた

目の前にはボンゴレ本部



「どこやねんここ」



一応しらを切る

腕はまたもやつかまれていて



「だって一応侵入者だし」



「おどれの辞書に恩とか言う言葉は無いんか。しかも人違いや言うたやろ。その侵入者が関西弁でも話したんか」



「話したらしいよ。オレは聞いてないけど。仲間がね、侵入者が猫に関西弁で何か言ってるの聞いたって」



それは…心当たりがある

やっぱりボスが日本人だと、その部下も日本語を話すものなのだろうか



「それにあの身のこなしと罠。もう言い逃れられないね」



ははは、なんて笑いながら綱吉は中に入っていく

(もうええ。勝手にしてくれ)

結は手を引かれながら、大きな大きなため息を付いた



◆◆◆◆◆◆◆◆




連れられたのは医務室

そこの医者と二言三言交わすと、綱吉は出て行こうとする



「ちょお待て。どういうことや。さっきので怪我なんかしとらん」



「うん、前の怪我」



首を傾げると綱吉は苦笑する



「この前、ダイナマイト直撃しただろ?」



背中を指される



「……あぁ、そう言えば」



「一回ちゃんと見てもらった方がいいよ。終わったら迎えに来るから逃げないでね」



笑顔の中の威圧感を感じ、思わず首を縦に振った



◆◆◆◆◆◆◆◆




治療の後大きな部屋に通され、暫くするとぞろぞろと人が入ってきた

綱吉が結の正面に立つ



「単刀直入に言うとね、オレの仲間になってほしいんだ」



黙って次の言葉を待つ



「一人でボンゴレに侵入してくるだけの腕。オレは君が欲しい」



後半だけ聞けば愛の告白みたいだ、と思って口角を上げる



「…で、恩を売りつけようって?治療もしたし?」



鼻で笑う

そんなのそっちが勝手にしたことだ

しかし綱吉は首を振った



「もちろん無理にとは言わない」



「オレは反対です」



獄寺が声を上げた



「こいつ十代目を狙ったんですよ?!信用出来ません!それに腕だって…罠のどこが…」



「馬鹿か獄寺」



リボーンが言う



「おいお前。こいつ罠に掛けられるか?」



突然の言葉に獄寺に目をやる

壁を背にして立つ獄寺



「よゆー」



その言葉に獄寺が睨んでくる

その反応に内心ほくそ笑んだ



「準備する時間は十分やったしなあ。ほら、右見てみ」



(はったりだ。奴から目を逸らすな)

パチ

右から音

(本当だったかっ)

舌打ちしながら右を向いて構える

すると壁にぶつかって落ちていくゴムが見えた

結を見ると悠然と腕を組んでいる



「ってめ…」



獄寺が結の方を向いて目を吊り上げた時

カチ

獄寺の後ろの壁から音

ぽよん

子ども用のゴムボールが獄寺の背に当たった




(これが、武器だったら…)

獄寺の背を冷たい汗が流れる



「にぃちゃんツいとったなあ。ただのボールや」



リボーンが口を開いた



「こいつは持っている罠が凄いんじゃねえ。敵地に罠を張る周到さと、言葉で敵を翻弄するハッタリだ。そして、それとは分かりづらい起動スイッチ」



結は微笑み、綱吉を見た



「誘いは嬉しいけど、断らせてもらうわ。…あかんねん、マフィア」



そのまま部屋を出る

手の平を見つめた

記憶を消すように、その手の平を握り締めた




マフィアは人殺しの組織

そんな偏見があった

そんなファミリーばかりじゃないと知っている

だけどどうしてもマフィアへの苦手意識は拭えなかった

(嫌いや、マフィアなんか)







20100306

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