新聞配達のバイト帰り
公園からバスケットボールの音がする

近付いてみると、桜木くんがレイアップの練習をしていた
微笑んでしまうのは無意識
彼はどんどん上手くなっていく

彼を見ると心がぽかぽかする
それがすごく大切で
だけど

「桜木くん!」

「晴子さん!」

あたしは首を傾げて胸に手を当てる
晴子ちゃんと一緒にいるのを見ると、心がちくちくするの
どうしてだろう









「それは恋ね」

あたしが聞くと彩子さんはそう言った

「恋、ですか?」

彩子さんは微笑む

「恋は初めて?」

「えっと、たぶん」

こんな気持ちは初めてだ

「でも…」

あたしが呟くと、彩子さんは優しくあたしを見つめた

「どうしたの?」

「あたし、桜木くんが、その、怖いんです。見た目とか…」

そう
怖いと思っている人を、好きだと言えるのだろうか

「確かにあの派手な頭じゃねえ。ま、女の子には手ぇ出さないみたいだし、安心しなさい」

彩子さんて優しいなあ

「で、どんなこと妄想するの?」

にやっと笑いながら聞く彩子さん
優しい先輩像が台無しだよ

良い人だと分かっているのだけど
どうしても本人を目の前にすると怖じ気付いてしまうのだ

それでも、彼を思い出すと心がほわーっとなった

(妄想じゃないから)

(断じてっ!)









桜木くんが好き

そう思うと何だかむずがゆくて
妙に照れくさいんだ









20091218

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