あたしはバスケ部のマネージャーになった
中学の時はヘタクソだったが選手としてやっていたし、それなりに役に立つのではないだろうか

2年のマネージャーの彩子さんと一緒に体育館に向かう
入ったときには、新入部員が自己紹介を終えていた

中でも一際目立つ赤
あたしは後ずさりしそうになった

あの人がいる
入学式の男の子
彼は気付いていないようだったが、さすがに自己紹介の時に見付かった

練習が始まる前に、彼が近付いてくる
やっぱり殺さずとも殴られるかもしんない

「如月さん」

あたしはびくっとして、ひきつった笑みを浮かべた
我ながら完璧な笑顔だ

「何カ用デゴザイマショウカ」

カタコトになるのは仕方ない
だって怖いんだもん

「この前は励ましてくれて、あ、あ…」

彼は何か言おうとしていて
でも言いにくそうに眉を寄せて

「桜木何してる!早く来い!」

「ハイ!」

ぺかっと笑うと彼は赤木さんに背を向け、こちらを向いた

「何でもナイ」

そう言った彼は気まずそうで
励ましてくれて…?

「もしかして、お礼、とか?」

あたしの呟きに、彼の頬がさっと朱に染まる
図星のようだ

「どういたしまして」

桜木くんはさっと顔を背けて行ってしまった
あれはきっと照れ隠し
そう思うと可愛かった

「結ちゃーん、こっちこっち!」

「はーい、今行きます!」

彩子さんの元に走りながら、あたしは微笑んだ

(やっぱ怖い人じゃないのかも)









20091218

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