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「あーあ」
部室で鏡を見ると、面白いくらいに腫れてる
(…笑えない)
救急箱の湿布を失敬して貼った
座り込んで壁にもたれる
「…っかしーな」
(何もないのに、胸がズキズキする)
膝に顔を乗せて、目を閉じた
いつまでそうしていただろう
ガチャ
部室の扉が開く
彩子さんが入ってきた
「ふんふふーん♪…ってうわ!!」
あたしに気付いて声を上げる
「ども。もしかしなくても放課後ですか?」
「そうよ。あんたまさかサボリ?…どうしたのそのほっぺた」
彩子さんが頬に触れる
あたしは笑った
「色々ありまして。今日は休んでもいいですか?ほんと申し訳ないですけど」
「大丈夫よ。むしろ休みなさい。あたしが上手く言っとくから、このまま帰っていいわ」
「ありがとーございます。明日からは頑張りますんで」
あたしは部室を出て教室に向かう
幸い誰にも会わなかったため、鞄を取ってすぐに下駄箱に向かう
明日までに腫れが引くといいけど
あたしは胸を押さえる
(まだ、ズキズキする)
あんな風に殴られたのに
貴女のこと嫌いになれないの
…嫌いになれたら、良かったのに
20100214
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