帰ると綱吉くんはテレビを見ていた

あたしに気付き、テレビを消して玄関まで来る

「おかえり、結さん」

「ただいま」

この当たり前のやり取りが新鮮だ

夕食を食べながら、あたし達は話した

「綱吉くんは心当たりないの?なんでこの世界に来たとか」

「オレ、寝てて気付いたらここにいたんだ」

それからポケットをゴソゴソと探る

「これ、入ってたんだけど見覚えがないんだ」

彼の手に乗っている物

「指輪…?」

それは確かに指輪だ

見事な細工がしてある

「何か分からないけど、とりあえず君が持ってなよ。何か関係あるかもしれないし」

綱吉くんが指輪を再びポケットに入れるのを見る

「土日は休みだから、買い物行こっか」

「うん。…って、ええ?!」

驚く綱吉くんに続ける

「いつまでもその服着とく訳にはいかないでしょ。他の必要な物も買いたいし」

「で、でもっ」

「あ、お金なら気にしないで。お姉さんこう見えてお金持ちよ。って使ってないお年玉がたまってるだけなんだけどね」

まだ遠慮する綱吉くんにあたしは苦笑した

「拒否権なし。あたしが行きたいから行くの。気にしないでいいんだよ」

そして話は終わりとばかりに、食事に意識を戻した






土曜日

外は晴れ

絶好の外出日和だ

「まずは服だね」

ショッピングモールを進みながら、あたしは綱吉くんに話す

「適当に好きなの選んでおいで」

綱吉くんは戸惑ったように店の中を歩いていたが、その内数着を持って近付いてきた

「これでいいの?」

「うん」

頷く綱吉くんに、会計を済まし次の店に行く

全て買い終えた時には、空は茜色に染まっていた

荷物持ちを進み出てくれた綱吉くんの手から、袋を一つ取る

「あたしにも持たせてね」

綱吉くんは目を丸くしたが、笑って頷いた

弟みたいでかわいいな






20091125

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