ふわり

ふわり

漂う

ゆっくりと

時間を掛けて







抗争も終わりボンゴレでは勝利の宴を行っていた

失った仲間も共に

仲間の死を悼み、仲間の分も勝利を喜ぶ

「ツナ、そろそろ宴会も終わる。部屋に帰ってもいいぞ」

「いや、大丈夫だ」

オレは前を見る

どんなに突き放されても

どんなに拒絶されても

オレは立ち止まらなかった

君が、好きだから

泣いても君は喜ばない

だから君の為に笑って生きよう

「最後の言葉は『へたくそ』だしな」

あの状況でも君は君だった

「笑った?ねえ綱吉くん、あの後も泣いてたりしないよね?」

「泣かないよ。笑えもしなかっ……っ?!」

振り返る

「結!」

オレの声にボンゴレのみんなが振り返る

そこには少し大人びた結が、笑いながら立っていた

みんなが群がる

それを見ても、結が好かれていたことが分かる

オレはその中、結を抱き寄せて言った

「今日は駄目。結、ちょっと」

そのまま結を抱き上げて自室へ向かう

後のことはリボーンが何とかしてくれるだろう

自室に着き、彼女をベッドに座らせた

いつかのように、その隣に座る

「説明してくれるよね」

「もちろん」

彼女は話し出した







気付けばどこかを漂っていた

ふわり

ふわり

胸の指輪が光る

『ここは時間と空間の狭間』

時間と、空間

ぼんやりとする意識の中、指輪の言葉を振り返る

『ここなら時間は動かない。長い時間を掛けて、傷を治す力を回復するといいわ』

そしてまたあたしは漂った

ふわり

ふわり








「まさか2年も掛かるとは思わなかったけど」

「2年?!てことは今…」

「22歳だよん」

笑う彼女はやはり大人びていて、少し綺麗になった

「ねえ結。好きだよ」

静かに、もう何度目になるか分からない告白をする

「うん」

「じゃなくて、返事はくれないの?」

告白だって、分かってるんだろ?

「だから、うん。前も言ったと思うけど」

「そうじゃなくて、…え?」

言いかけてやめる

「言ってるでしょ。返事は『YES』」

笑う彼女は楽しそうにしていて

思わず抱き締めた

背中に回される腕が嬉しくて

「甘えたさんだね、綱吉くんは」

「もっと甘えるから」

そう言って彼女の髪にキスを落とした







ずっと弟だと思い込んだ

恋心に気付いてからは避けた

綱吉くんみたいに、いつかあたしも帰っちゃうと思ったから

いつかいなくなるなら、早い内に距離を取った方がいいから

だけど離れてからも想いは募る一方で

いつもあなたの幸せを祈った

最後にあなたを守れて幸せだと思ってた

だけどさっきの様子を見ていたら、置いて行かれる方は辛そうで

あたしは君が好きなの

君が幸せじゃなきゃ嫌

あたしを選んで君が幸せになれるとは思わないけど

だけど選んでくれたからには幸せにするから

だから、覚悟しててね?

あたし達は額をくっつけて、笑い合った









fin.
→後書き
20091212

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