転がる人

響く銃声

その中をヴァリアーの面々は駆け回る

無駄のない、完璧な仕事

あたしはその中で綱吉くんを見つけた

だけど遠い

向かってくる敵をかわしながは進んでいく

ドンッ

何かがぶつかった

「隼人くん?!」

あたしの声に、隼人くんは驚いて顔を上げる

しかしその呼吸は荒い

見ると脇腹から血が流れていた

「それ…」

「っ!何でもねえよ」

あたしから離れていこうとする腕をつかんだ

傷口に手をかざす

人にも使えるはずだ

戻れ

不安げに見ていると、徐々に傷口が塞がり、最後には傷一つ残っていない

隼人くんは目を丸くした

「これで大丈夫。じゃ」

そう言って、何か言われる前に彼から離れた

今は説明してる暇はない

全身が重い

やっぱり体力を使うみたい

その時、綱吉くんの向こう側に敵のボスが見えた

オルソ・レオパルド

彼が銃を構え、綱吉くんを狙っている

叫んでも、この喧騒の中じゃ届かない

あたしは走った

重い体を引きずり、彼の方へと走る

引き金に手を掛ける

まだ気付いていない

綱吉くんもリボーンくんもみんな

時間を戻せばあの銃を止められるだろうか

駄目だ

まだコントロール出来ていないのだろう

さっき隼人くんを治したので消耗しきっている

ああもう、ほんと役立たず

銃声が響く

ようやく綱吉くんが気付いた

でも遅すぎる

防ぐにも、避けるにも

あたしは笑みを浮かべていた

直後痛みが体を襲った









もう駄目だと思った

超直感でも察知できなかった

やられる

その時誰かがオレの前に飛び出した

見覚えのある後ろ姿

愛しい、人

その人の体から、血が吹き出した

別の所から銃声がする

敵のボスが倒れた所を見ると、リボーンだろう

「結さん!」

オレは崩れ落ちる体を抱き止めた

「結さん!結!結!」

必死で呼び掛ける

「…うる、さい…な…」

小さな声

確かに答えた

だけどその怪我は致命傷で

オレは袖を破って彼女の怪我の止血をする

彼女の呼吸は浅く速い

「怪我…っ…な、い…?」

そんな状態で他人の心配なんて

「馬鹿っ。今は君だろ!」

小さく笑う彼女の顔は青ざめている

大切なものがこぼれ落ちるのを感じた









20091212

- 42 -


[*前] | [次#]
ページ:


戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -