夢を見た

目の前に立つ、もう一人のあたし

『初めましてね』

「あたし?」

彼女は首を振った

『違うわ。私はそれ』

彼女の指差したのは、首に掛かった指輪

「指輪ですか…」

『あ、信じてないわね?まあ、いいわ。一応、そろそろ教えようと思って』

変わった夢だ

『あなたは、ボンゴレの守護者よ。時間と空間を操る時空の守護者。比喩ではなく、本当に操れるわ』

時空、ねえ

そんなことしたら、世界が滅茶苦茶になりそうだけど

『もちろん、制限はあるわ。動かせる時間は、人間相手でせいぜい24時間。空間を移動すれば、その空間にとって未来の事は話せない』

なるほどね

『私はあなたを守護者と認めた。私を使うも使わないも、あなたの自由』

時空を操る…

『ただ時々力が漏れているようね。急に自分や誰かを空間移動させる』

その言葉にはっとした

「じゃあ、綱吉くんがあたしの世界に来たり、あたしがこの世界に来たのは…」

『ええ。指輪が原因よ』

もしこの話が本当なら、あたしは元の世界に帰れるということになる

だけど、いいの?

彼が壊れてしまうのを放っておいて

指輪を握る

『決めるのはあなたよ』

そう言うと、彼女は消えた









ベッドで伸びをする

彼女が消えたんじゃなくて、あたしが起きたのか

あたしは立ち上がって、窓際に歩み寄る

太陽が昇り始めており、景色が橙色に染まる

…彼の炎の色

カタ

手に小さな鉢植えが当たった

ルッスーリアがくれたもの

と言っても仙人掌なんだけど

水をあげなくてもいいから楽だ

ただ花が咲くのに随分時間が掛かるらしい

時間、か

手をかざして、強く思う

進め

すると見る見るうちに、蕾ができ、花が咲く

驚いて手を離すと、確かに花は咲いていた

「すご…」

本当に進んだ

フラッ

足が笑ってふらつく

なんか、疲れた

もう1回、寝よう

そう思いながら目を閉じた








「結ちゃん、朝ご飯よ」

アタシが部屋に入った時、結ちゃんは窓際で壁にもたれ掛かっていた

「結ちゃんっ?!」

慌てて駆け寄ると、静かな寝息が聞こえる

ほっとして苦笑する

寝付けなかったのかしら

仕方ないわね

あんな光景を見たんだもの

結ちゃんを抱き上げながら、昨日の事を思い出す

あの後ベルちゃんはボスに殴られた

「…わりぃ」

珍しくベルちゃんは素直に謝った

きっと彼も恐れていたのだ

この心優しい少女に嫌われるのを

それはヴァリアー全員に言えることだけれど

自分たちとはまるで違う、でもだからこそ惹かれた

ボスが気に入るのも分かる

みんな怖かったのだ

自分達が人殺しだと実感した彼女はもう、自分達を拒絶するんじゃないかって

彼女をベッドに運び、布団を掛ける

結ちゃんの部屋から出てきたベルちゃんは、心底嬉しそうに笑った

それを見たアタシ達も安心した

彼女は守ってみせる

そう思いながら部屋を後にした









20091212

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