玄関には連絡を受けたのだろう、ザンザスが待ちかまえていた

「結さんがここにいるだろ」

「さあ、知らねえな」

ここにいるのは調べがついているのに

「結さんはどこだ」

一歩近付けば、互いの殺気がぶつかる

互いの部下の間に緊迫した空気が流れる

「あたしはここだよ、綱吉くん」

懐かしい、愛しい声

ザンザスの舌打ちも気にならない

「急にいなくなるから、探した」

上手く言葉が出てこない

それでも

「迷惑なんかじゃないから、戻ってきて欲しい」

伝えなきゃ

伝われ

彼女は苦笑した

「ボンゴレはお人好しが多いね」

そしてオレを真っ直ぐに見つめた

曇りも汚れもない、綺麗な瞳で

「あたしは、戻らない。もう君とは会わない」

自分の笑顔が凍り付くのが分かった

「言ったでしょ。君と一緒にいちゃいけなかった」

それだけ言うと、彼女は部屋の奥に戻っていく

「結さんっ、そんな、」

「来るな!」

ぴしゃりと怒鳴りつけられる

それでも彼女はこっちを見てくれない

「男でしょ。フられた女に未練がましく縋るな。…他の子を探しなさい」

そのまま彼女は行ってしまった

伸ばしていた手が力無く落ちる

数秒だった

俯いていた顔を上げ、オレはザンザスに向き直った

「夜分に失礼したね。それじゃ、戻るよ」

自分をコントロールするのも、もう慣れた

人を殺す時は、嫌でもしなきゃいけないから

「おい」

ザンザスの声に振り向く

「…いいのか?」

その言葉に少し素顔を見せる

「…あれだけ拒絶されて、これ以上オレに何が言える?」

ザンザスにしか聞こえないように呟く

彼はもう何も言わなかった

その時のオレはどんな顔をしていたのだろうか








20091209

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