ヴァリアーで生活すること2週間

ザンザスは何故かあたしを匿ってくれると言ってくれた

部屋を開けてもらい、彼らの暇つぶしの相手になる

今日はベルくんに、クッキーを作るようせがまれ、今焼いているところだった

「ベルくん、できた。久し振りだから不味いかも」

「もーらいっ」

一つを口に入れ、彼は笑う

「すっげーうめえ。お前料理出来るんだな」

「ほんと?ありがと」

嬉しそうに笑うと、あたしも一つ食べる

「美味いね」

「自画自賛かよ」

だけど、なかなかの出来だったから

「みんなにもあげよっと」

あたしがクッキーを包んでいると、スクアーロくんが帰ってきた

「おかえりー。甘いのと、甘さ控えめどっちがいい?」

「ああ?控えめ…」

訳が分からないまま答えるスクアーロくんに、クッキーの包みの一つを渡す

「今日任務あるのってスクアーロくんだけだよね?みんなに配ってくる」

そう言うと、包みを抱えて二人の元を後にした








何故か自分から、ここにいろ、と言った

らしくねえ

自分で分かってる

普通なら世話しようとも思わねえし、そもそも拾ってこねえ

自分で分かってる

たぶんオレは、あいつに惚れてる

初めて会ったときのあの瞳に惚れたんだ

らしくねえ

ノックと共に扉が開く

「ザンザスー」

おまえが来ると、自然に笑みが浮かぶ

「甘いのと控えめ、どっちがいい?」

「なんの話だ」

彼女は両手で抱えた包みを見せてきた

「クッキー作ったの」

「んな甘いもん食えっかよ」

「じゃあ控えめだね」

オレに真っ直ぐ向き合ってくる女は初めてだ

包みを渡してくるが、甘いもんは好きじゃねえ

彼女は唸りながら包みを開ける

そんな顔も可愛いと思うオレは、重傷だろうか

「ザンザスのばぁか」

「ああ?」

突然の言葉に眉を片方上げる

「えい」

結の掛け声と同時に、口に何かが入る

「どう?美味い?」

期待したように見る彼女は、少し大人びていて

腕を引いて抱き寄せた

「お前の方が美味そうだ」

耳元で囁けば、真っ赤になってオレから離れる

そんな反応も楽しい

だが知ってる

彼女が毎晩、空を見上げていることを

その顔は切なげで

オレはそんな結を抱き締めたくなる

誰のためにお前は祈る?









20091208

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