『今まであたしをいさせてくれて、ありがとう

だけどこれ以上迷惑掛けられないから

あたしは君の傍にいちゃいけなかった、綱吉くん』

リボーンが手紙をテーブルに置く

「昼間のやり取りが原因か?」

「…一因ではあると思う。弱さを見せたがらない人だから、守られているだけの状況が嫌だったんだろ」

自分でも分かるくらい声に力がない

今までは、傍にいて当たり前だと思っていた

会いたくなれば、いつでも会いに行けると

「探さないのか?」

「自分から出て行ったのに?」

嘲笑を浮かべる

自分から出て行った彼女を、連れ戻す権利が自分にあるのだろうか

「狙われるぞ」

「彼女は充分強くなってる。大方の敵は何でもないよ。どうせ彼女はオレの事何とも思ってないんだ」

探して、連れ戻して、それから何を言う?

「…お前はこのままあいつと会えなくなっていいのか」

このまま会えない?

もう二度と?

優しい声も

暖かい微笑みも

もう二度と向けられることはない

そんなの、

「…嫌、だ」

どうしてオレは、こんなに馬鹿なんだろう

『綱吉くん』

いつでも望めば会えた

いつでも微笑みを見れた

いつでも優しく笑って

いつでも受け止めてくれた

彼女はもういない

馬鹿だ

馬鹿だオレ

何でもっと早く気付かなかったんだろう

当たり前じゃなかったんだ

何も言わなくても、分かってくれる

そう思って

そんな事、ある訳ないのに

言葉にしなきゃ伝わらないこともあるのに

必要だって

オレには君が必要だって

いてくれるだけで、オレは幸せだって

言っていれば君はいてくれたかもしれないのに

オレは馬鹿だ

失ってから大切さに気付いて

でもまだ遅くない

彼女を探して、連れ戻して、そしたら言おう

オレの想いを、飽きるほどに

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