綱吉くんはとても真っ直ぐで



みたいだと思ってた

兄弟のいないあたしにとっては、凄く可愛かった

こっちに来てからも、綱吉くんの方が年上になっても、それは変わらなかった

可愛い弟

どうか、その関係を壊さないで

「結さんが好き」

その言葉は聞きたくなかった

「結さん、オレの事どう思ってるの?」

あたしは苦笑を浮かべた

「弟だよ。可愛い弟」

「おとうと、か」

彼は苦しそうに笑う

そんな顔をさせているのはあたし

俯く彼の頭を撫でる

「あたしなんかより良い人、いっぱいいるよ」

例えばそう、京子ちゃんとか

「諦めないから」

ポツリと呟いたかと思うと、握っていた手を放し、あたしの両肩をつかんだ

そのまま顔を寄せる

あまりに突然の事に動く暇もなかった

頬に触れた柔らかいもの

バッとそこを手で押さえる

「いつか唇もらうから」

不敵に笑うと綱吉くんは部屋を出て行った

な、な、な…?!

なんなの一体?!

全然ヘタレじゃないよっ

すごいかっこいいんですけど!

本当に10年が経っているのだと実感する

押さえた頬は熱くて

あたしは小さくため息をついた







あの後暫くして、山本さんとリボーンさんがお見舞いに来てくれた

「さらわれる時近くにいたのに、助けられなくてごめんなー」

申し訳ないと頭を下げる山本さんに、首を振る

「見えてなかったんですから、仕方ないですよ。でも近くに山本さんがいて良かった」

じゃなきゃあたしは殺されていただろうから

生きているのはただ幸運なだけ

「武でいいぜ?とにかく無事で良かった」

彼は爽やかに笑う

「そう言えばリボーンさん。綱吉くんが来ちゃったって事は、あたしがボンゴレに関わりあるってバレますか?」

リボーンさんは帽子を押さえた

「そうだな。あの程度の事件ならツナは動かねえ。それが動いたとなれば、敵対勢力は感づくかもしれねえな」

その答えに肩を落とした

また、狙われたりするんだろうか

「お前には当分、ここに住んでもらう」

リボーンさんからの言葉に諦め半分で頷く

一人で街は出歩けない

大学も、やめなければならないだろう

…大好きなバスケも

それならいっそのこと

「あたしボンゴレの一員になろうかな」

ボソッと呟いた言葉に、リボーンさんが視線を向けた

「死ぬぞ」

短い、しかし確かな重みのある言葉

甘くないということ

軽い気持ちで出来るものじゃないという忠告

彼なりの、優しさなのかもしれない

「弱いですからね。でも、自分の身は守れるようになりたいなあ」

仰ぐように上を見る

今回だって結果的には迷惑を掛けた

あたしがもっと強ければ

「護身術くらいなら誰かに教えてもらうといい」

リボーンさんがあたしの頭に手を乗せる

そのままわしゃわしゃと撫でた

「ちょ、子供扱いしないで下さい!リボーンさんより年上なんですからね」

「ならその堅っ苦しい敬語を外せ。お前にはツナが、ボンゴレの十代目が世話になってる。気を使わなくていい。オレ達全員にだ」

リボーンさんはそれだけ言うと、部屋を出て行った

「荷物は取り寄せるから。まずは怪我を治さねーとな」

武さんの言葉に頷く

「そう、だね。わざわざ来てくれてありがとう」

武さんをそっと見ると、彼は微笑んだ

「そっちの方が結ちゃんらしいな」

そして誰もいなくなった部屋

あたしは一人、ただひたすらボールを触っていた

何も見ず、何も考えずに









20091207

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