白い天井が目に入る

「…」

無言で起き上がると、腹に鈍痛

頬にはガーゼが貼ってある

「…どこ?」

ベッドから出る

自分の体を見ると、かなり痛々しい

「…っく、ひっく」

涙と嗚咽が零れる

膝に顔を埋めて、声を押し殺した

怖かった

初めて命の危険を感じた

震えがまた始まる

今まで普通の生活をしていたのだ

それが急に拳銃を向けられて

怖かった

怖かった怖かった

しばらく泣き続けると、ようやく涙は止まった

立ち上がって部屋の洗面台で顔を洗う

ガーゼを少し外すと、青く変色している

でもそんなにひどくないから、痕が残ったりはしないだろう

ノックが聞こえて、扉が開く

洗面台はさっきの部屋と扉で仕切られているので、誰が来たかは分からない

その人はしばらく止まっていたかと思うと、慌ただしく動き出した

部屋を行ったり来たりしている

バタンッ

扉が乱暴に開かれた

「…いた」

入ってきたのは綱吉くん

何故か安心したように笑う

「まだ歩いちゃ駄目だよ」

綱吉くんは歩み寄って、少し眉を寄せる

「目が赤い…。泣いてたの?」

「あー、怖い夢見たみたい。起きたらすごい泣いてたから、顔洗ってたの」

笑って誤魔化す

「怖い夢?」

「うん。ランボくんのもじゃもじゃが追いかけてくる夢」

「変な夢」

笑う綱吉くんに安心する

「ほんとに怖かったんだよ?」

「はいはい。取り敢えずベッドに戻るよ」

綱吉くんが抱き上げようとするのを丁重に断り、自分で戻った

「そう言えばさっき入ってきた時、何でドタバタしてたの?」

「え、ああ。結さんが帰っちゃったんじゃないかって思って」

決まり悪そうに笑う彼に微笑む

「君があたしの世界に来た時、あたしも同じ事思った事あるよ」

そう言うと彼は目を丸くして、そして笑った

「ここはボンゴレ?」

「そう。本拠地の救護室」

うん、確かに病室みたいな感じ

「…結さんごめんね。こんなに怪我させて」

それにあたしは笑う

「別に綱吉くんのせいじゃないんだから。そりゃ、ちょっとは怖かったけど。助けに来てくれて嬉しかった。ボンゴレって大変だね」

「結さん…」

綱吉くんはあたしの目を見る

何となくあたしは逸らしてしまった

「…どうして逸らすの?」

「どうして、って」

ベッドに座るあたしの手を握る

「オレの事、嫌い?」

「嫌いじゃないよ!ちょっと恥ずかしかっただけ」

すると綱吉くんはあたしの髪を撫でた

そのまま唇を寄せる

あたしは咄嗟に彼の口を手で押さえた

「綱吉くん、こないだからどういうつもりでしてるの?イタリアじゃこんなの挨拶なの?」

そうだと言って欲しかった

特別な感情など持ってないと

ただの挨拶だと

そう言って欲しかった

「違うよ、挨拶なんかじゃない。オレは、」

言わないで

聞きたくない

「結さんが好き」








20091206

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