目が覚めると、冷たい床の上に転がされていた

手足は縛られていて身動きがとれない

「お目覚めかな」

薄暗い明かりで声の主が見える

黒髪に彫りの深い顔立ち

「何で君がいるの?…ダン」









「結さんがさらわれた?!」

オレは武の言葉に耳を疑った

オレ達と接触してないはずだ

ランボと話したらしいが、それは1度らしいし

どうして彼女がさらわれる

「とにかく、犯人を洗い出せ。動機もだ」

指示を出し、急な仕事だけを片付ける

どうか無事でいてくれ









ドカッ

頬に痛みが走る

あたしを立たせている男に殴られたのだ

「ほら、ボクと付き合わないと、二度と見られないような顔になるよ?」

前のソファに座ってそれを見ているダンは笑いながらそう言う

あたしは無視をした

ダンが舌打ちをして顎をしゃくる

再び殴られ床に倒れる

「強情だね。ボクは気が短いんだ」

「…君なんて、死んでもお断りだ」

笑みを浮かべて言うと、ダンの表情が変わった

「もういい下がれ。ボクがやる」

彼はそのままあたしの所まで来ると、あたしの腹を蹴り上げた

勢いでそのまま転がっていき、壁に当たって止まった

「かはっ」

ダンはあたしの元へくるとまた蹴る

後ろの壁で転がらないのをいいことに、何度も、何度も

「う…げほっ、」

ようやくダンがやめたときには、あまりの痛みに視界が暗くなった

髪をつかまれ、上を向かされる

「お前ごときがボクをフった挙げ句、ボクの顔をぶつからだ。今ならまだ助けてあげるよ。ボクの彼女にして欲しいって言ってごらん」

あたしは痛みのせいで荒い呼吸の中、ダンに視線を合わせた

「…言ったでしょ。お断りだ」

彼のこめかみに青筋が立つ

そのまま蹴飛ばされ、壁にぶつかって崩れ落ちる

「いいよ。望み通り殺してやる」

彼の手には拳銃が握られている

痛い

怖い

今まで体験したことがない痛みと恐怖に、体が震える

どうしてこんな事するの?

どうしてこんな思いしなきゃならないの

怖い怖い怖い怖い

ただ恐怖に支配されそうになる

今すぐにでも泣き叫びたかった

それでも、こんな奴に屈するのは嫌だった

負けじとダンを睨み付ける

「ばいばい、馬鹿な女」

ダンが引き金に指をかけた瞬間、その銃が吹き飛んだ

見ると雲雀さんがトンファーを振り下ろしていた

「そこまでだ。オレ達のシマで女誘拐なんて、舐めたことしてくれるね」

やってきたのは綱吉くんと雲雀さん

「恭弥、許す。好きなだけ暴れろ」

「ワオ、珍しいね。それじゃ遠慮なくやらせてもらうよ」

「ダンは残せ」

「いいよ、それくらい」

雲雀さんは敵の集団の中へ突っ込んでいった

綱吉くんがあたしの方に駆け寄る

ロープを切ると、安心させるようにあたしを見た

「すぐに終わるから、ちょっと待ってて」

綱吉くんは立ち上がり、ダンに向き合った

「ダン・オストゥリカ。ヴォルペファミリー2代目ボス。今回私怨により誘拐を計画、実行」

綱吉くんが言うと、ダンは怯えたように見る

「オレの管轄内での問題。どう説明する?」

「まさか、まさかまさか、ボンゴレ十代目?!ひぇ〜すみませんすみません」

ひたすら謝るダンの襟を掴み、綱吉くんは思いっきり殴り飛ばした

ダンは顔の形が変わり、ピクピクと痙攣している

「じゃあ恭弥、あとは任せた」

綱吉くんはそう言うとあたしを抱き上げる

「え、いいよ綱吉く…つっ」

痛みに顔をしかめると、彼は苦笑する

そしてあたしの震えに気付いた

まだおさまらない

安心したからこそ、恐怖が蘇る

「ごめん、怖い思いさせて」

あたしはそれに首を振って、綱吉くんの胸に頭を預けた

綱吉くんはあやすように、あたしの髪を撫でる

その優しさを感じながら、あたしは意識を失った






20091206

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