綱吉くんに手配してもらった新しい家

ハルさんに用意してもらった日用品

そして新しい大学

イタリア語は向こうでも使ってたから大丈夫だし、すぐにバスケが出来るように頼んだ

今日でこっちでの生活は1ヶ月

綱吉くんたちとは会えないが、時々メールのやり取りをしていた

あたしは雑誌の取材に来た人の目に止まったらしく、雑誌でも取り上げてもらっている

今日はコートの整備とかで、バスケは出来ないため、あたしはハルさんに誘われて、映画を見ることにしていた

待ち合わせ時間に合わせて家を出た時、呼び止められて振り向く

「あの、如月結さんだよね」

黒髪だが彫りの深い顔立ち

イタリア人の青年がにこやかに立っていた

「そうだけど」

整った顔

モテるだろうな

「よかった。会えて嬉しいよ」

「あの、誰?」

困惑しながら首を傾げる

「ごめん、自己紹介がまだだったね。ボクはダン。君を雑誌で見て一目惚れしたんだ。でも実物の方がかわいいね」

典型的なイタリア人だ

女たらしの感じがして、少し苦手だ

「これからお茶でもどう?いい店知ってるんだ」

そう言うなり、返事も聞かずにあたしの腕を取って歩き始める

「ちょ、ちょっと。あたし約束があるから、ねえ、聞いてる?」

「ワタシ、ニホンゴワカリマセ〜ン」

「イタリア語だよっ」

何なのこの人

道の途中まで来て、何とか手を振りほどく

「もうっ、あなたとは行かないって言ってるでしょ!」

「まさか男と会う気か?!」

「女の子の友達だよ」

うんざりしてきた

「どうして?恋人より友達を選ぶのか?」

あたしは頭を抱えたくなった

「あたし、あなたの恋人じゃないから」

「何を言ってるんだ。あぁ、恥ずかしがってるんだね。まったく結は照れ屋さんだなあ」

頭痛がしそうだ

話がまるで噛み合っていない

「あのねえ…っとにかく、あなたとは行かないから」

それだけ言うと、あたしは返事を聞く前に走った

彼、ダンだっけ?、の声が聞こえるが無視

ハルさんと会って映画を見てる内に、そんな事は忘れてしまった

しかし事はこれでは終わらなかった








20091206

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