ある日、綱吉くんが子猫を拾ってきた

捨てられていたそうだ

拾ってくる辺り、綱吉くんらしい

「じゃ、飼おっか」

笑うあたしに、彼は驚く

「いいの?ここ、アパートだし」

「うち、ペット大丈夫だから。取り敢えずミルクあげといて。ご飯買ってくる」

帰ってきた綱吉くんと入れ違いに、あたしは出て行った






家に着き、扉を開けた瞬間猫が飛びついてきた

「わっ」

猫は肩に乗ったまま動こうとしない

「そんなとこで落ち着いちゃったか」

部屋に入りながら苦笑する

「綱吉くん、名前決めた?」

「あ、っとまだ。てゆーか、結さん決めてよ」

そんな期待したように見ないでよ

断れないじゃないか

「じゃあ…、ツナで」

「そんなんでいいの?」

「だって猫だし、綱吉くんが拾ってきたし」

名前とか付けるの苦手

手早く夕食を作り終え、二人で食べる

「ねえ、結さん彼氏いる?」

「急に何?」

あたしは笑う

そういう話に興味がある年頃か

あたしも彼も

「いないよ。昔はいたけど、キスもしないで終わったかな」

「そう、なんだ」

あたしは綱吉くんの顔を見た

「ね、綱吉くんは?京子ちゃんが好き?」

そう聞けば、凄く驚いたような顔をした

「なんで、それ…」

あ、しまった

説明したとは言え、他人に自分の恋まで知られてたら嫌だよね

「あっ…と、ごめんね。あたしが知ってるとか嫌だったよね」

「それはいいけど、…いや大丈夫だよ」

綱吉くんは笑う

本当、優しい人

彼が来てからこの家は明るくなった

暖かくなった

彼はいつか帰ってしまうだろう

…出来ることなら、帰したくない






20091129

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