「待ってな、もっと良くしてあげるきに」
「ん…ぁ、あ…!」
指を器用に滑らせ、陸奥の中を弄る。
部屋中に卑猥な音が木霊した。
「ふぁっ、ぁ、やあっ…!」
「おー、指がもう二本入っちゅう。これで、」
「ぁああっ!」
「三本じゃき」
水音が増し、羞恥心で陸奥は耳を塞ぎたい衝動に駆られる。
紅潮する陸奥を見かねて、辰馬は指の動きを速めた。
「んぁっ…やぁ…!」
「気持ちいいじゃろ?」
「…く、」
「ん?」
白く華奢な腕が、辰馬の頭を捕らえる。
「早くっ…」
「む
「早く、おまんで、おまん自身で満たされたいんじゃあ…!」
「…陸奥っ」
彼女へと倒れ込み、思うがままに抱きしめる。
「っ…あっ…!」
「陸奥、ちょっとの辛抱じゃき」
「んんっ…!」
ゆっくり、先端を入れる。
陸奥の辰馬に絡めていた腕に力が入る。
「いくぜよ」
一呼吸吐くと、陸奥へと侵入した。
「っ…ぁ、あ!」
「こんなの、序の口ぜよ」
「んっ…たつ…」
「大丈夫。わしに任せとき」
彼の言葉には不思議な力がある、とむつは思う。
言霊。
彼の言霊には適わない。
「…つまぁ、…た」
「むつ…、陸奥…!」
奥へと到達し、辰馬の動きも徐々に加速する。
「っ、…限界かのう、」
「んぁ、ぁあ!!」
「陸奥っ…!」
「ひぁ、ぁああ!!」
「…辰馬」
「何じゃ」
気怠そうに辰馬を見上げ、さらに身を寄せた。
「もっと…笑えば良いちや?」
「は?」
「その…笑っていた方が良いかと思うて…」
語尾は次第に消え入り、呟く陸奥。
辰馬は手に髪を絡め、優しく頭を撫でた。
「聞いとったんか?」
「廊下ででかい声だったき…」
「笑わんで良いぜよ」
「…でも」
ぺちん、
「った…何しゆう!」
額を指で弾かれ、陸奥は顔をしかめた。
「ありのままの陸奥は、わしが知っていれば良いんじゃ。無理に笑わんで良い」
「…辰馬…」
「わしもおまんにしか見せないわしがあるきに!だから、約束」
約束。
お互いの秘め事を密にする、それを約束としよう。
「…ん」
小指を絡めると、陸奥は優しく微笑んだ。
end.2010.8.27...後書