撫でられている感触がする。



「………」



パンッ!



乾いた音が船内に響く。


間髪を入れずに辰馬の顔面を平手打ちを食らわせた。



「むっちゃん痛いぜよ!」

「何しゆう!!」

「何もしちょらん」

「とぼけるな!!胸の次は尻かおまんは!!」

「陸奥」

「何じゃ!!」

「まだ仕事中ぜよ」



我に返ると自分達に注がれている仲間の視線。



「っ…」

「皆怪我はないかのう!」

「おいっ!」

「陸奥が無事で何よりじゃき」

「っ、」



向けられた笑顔が本当に憎い。


陸奥は傘を被り直し、頬が染まり行くのをひたすら隠した。

















「という

「だァア!!もういいってーの!!何のろけ?のろけに来てんのか!!?」

「何でわしがこがなことしに地球まで来んといかんのじゃ!!」



噛みつきそうな勢いで言い争う陸奥と銀時。



「陸奥」



名を呼ばれ、ピタリと声が止む。



「頭」

「船におらんから探したぜよ」

「わしは帰らん!!」

「子供みたいなこと言うんじゃなか〜。金時も迷惑するろー」

「おい!っ、放せモジャモジャ!!」

「金時ー今度は飲みに来るぜよー!!」



保護者の迎えが来たとでも言うべきだろうか、嫌がる陸奥の手を引いて辰馬は万事屋の玄関を出た。








玄関の引き戸を閉めて、互いに向き直る。



「何で金時とこ来たんじゃ?」

「自覚ないんかァア!!!」

「アハ、アハハ!!」

「笑うな性病持ち!!その頭ブチ抜くぜよ」

「むっちゃんがいかんぜよ〜」

「言い逃れか!!わしは

「むっちゃんが可愛いから。触りたくなるんじゃ」

「はぁ!?」

「好きじゃき。むっちゃん以外にこんなことせん」

「か



この男はズルいと思う。


都合が悪くなれば唇を封じにかかるから。



「っ、ふっ…」



辰馬の服を必死に掴み、押し返す。


しかし力がどんどん抜けていくため、ろくに反抗も出来ない。


結局は受け入れるしかないのだ。


そんな自分もどうかと思うが。



「ハァ…ハァ、」

「帰るぜよ!」

「……」

「てめーら…」



玄関の向こう側での密事は銀時から丸見えで。



「何しに来たんだァアア!!!!」



二人にはすでに聞こえない叫びが、万事屋に響いた。
























end.2010.5.16...後書
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