3
月詠は遊郭“ひのや”の一番人気の花魁。
そのため毎年多くの客が月詠を祝うため吉原に訪れる。
「だから月詠がいないと話にならないの。なのに銀さんったら月詠を一日借りたいって言い出すんですもの」
「たりめーだ!年に一度のコイツの誕生日だろ。サザエさん方式ーとか関係ねーよ!」
再び騒がしくなる。
月詠は二度目の溜め息を吐く。
「(どう収拾をつけようか…やはり
「「月詠はどっち!?」」
「え」
「俺と誕生日過ごすか、不特定多数のヤローと過ごすか」
「月詠っ」
銀時と日輪が月詠にじりじりと迫る。
収拾をつけるには、やはり己が決めなくてはいけないらしい。
「わっちは…銀時と過ごしたい」
「だろ?やっぱりなー。ほーらみ
「だが店を放っておいてまでは出来ぬ」
「月詠!アンタはいい子だねえ」
日輪は月詠を抱きしめ、頭を撫でる。
「つーくーよぉ…」
「ぬしもいつも通り店に来れば良かろう。人は多いかもしれぬが」
銀時の努力も虚しく、月詠にあっさりと言われてしまった。
銀時はがっくりと項垂れる。
月詠が特別な日は、銀時にとっても特別な日なのだ。
「(…祝う客の一人じゃ意味ないっつーの)」
銀時は心中で呟いた。
「ぎーんさん」
「…わぁーったよ。前日に月詠を借りる。それなら文句ねーだろ」
「最初からそうすれば良かったんだよ。それなら問題ないわ」
日輪は満足気に微笑んだ。
[ 25/38 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]