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月詠は遊郭“ひのや”の一番人気の花魁。

そのため毎年多くの客が月詠を祝うため吉原に訪れる。


「だから月詠がいないと話にならないの。なのに銀さんったら月詠を一日借りたいって言い出すんですもの」

「たりめーだ!年に一度のコイツの誕生日だろ。サザエさん方式ーとか関係ねーよ!」


再び騒がしくなる。

月詠は二度目の溜め息を吐く。


「(どう収拾をつけようか…やはり

「「月詠はどっち!?」」

「え」

「俺と誕生日過ごすか、不特定多数のヤローと過ごすか」

「月詠っ」


銀時と日輪が月詠にじりじりと迫る。

収拾をつけるには、やはり己が決めなくてはいけないらしい。


「わっちは…銀時と過ごしたい」

「だろ?やっぱりなー。ほーらみ

「だが店を放っておいてまでは出来ぬ」

「月詠!アンタはいい子だねえ」


日輪は月詠を抱きしめ、頭を撫でる。


「つーくーよぉ…」

「ぬしもいつも通り店に来れば良かろう。人は多いかもしれぬが」


銀時の努力も虚しく、月詠にあっさりと言われてしまった。

銀時はがっくりと項垂れる。

月詠が特別な日は、銀時にとっても特別な日なのだ。


「(…祝う客の一人じゃ意味ないっつーの)」


銀時は心中で呟いた。


「ぎーんさん」


「…わぁーったよ。前日に月詠を借りる。それなら文句ねーだろ」


「最初からそうすれば良かったんだよ。それなら問題ないわ」


日輪は満足気に微笑んだ。





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