19
「………」
あの時の感情が蘇る。
嫌われたのかもしれない。
二度と来ないかもしれない。
月詠は握りこぶしに力を入れる。
「月詠?」
何も話そうとしない月詠の顔を覗き込む。
─もう、こんな思いはしたくない。
「銀時…!」
「ぉわっ!?」
月詠が勢いよく銀時の胸元に飛び込む。
「わっちは…ぬしと居ると心がふわふわして温かいんじゃ。こんな感覚今までなかった」
「…ん。それで?」
「女としてみてもらおうと、ぬしに抱いてくれと言うた。だが…」
月詠の視界がぼやける。
「なあ、銀時…。ぬしに女としてみてもらうにはどうしたら良いのじゃ?」
伝えよう、伝えよう。
そう必死になったら涙が零れた。
月詠は袖で涙を拭う。
銀時は決まり悪そうにぽりぽりと頬を掻いた。
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