18
「月詠!お客!」
「誰じゃ?」
「銀さんだよ」
「(…銀時……)」
「…月詠、大丈夫?まだ心の整理が出来てないなら
「いや、行く」
『素直に伝えてごらん。きっと伝わるから』
幾松の言葉が、頭の中で反芻した。
「失礼します。月詠でありんす」
「おー」
いつもよりゆっくりと襖を開ける。
正面に座るものの、なかなか目を合わせられない。
沈黙を先に破ったのは銀時だった。
「えーと…なんだ。この前は悪かったな」
「え?」
「勝手に帰ったりして。お客帰らしちまうと大変なんだろ?花魁ってのは」
確かに銀時が帰った後、日輪に怒られた。
だがそれ以上に心配してくれた。
なかなか泣き止まない己を抱き締めて。
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