14
「それは女として見られているのかしら?」
銀時と布団を並べて寝た翌朝。
月詠の人気故に良く思わない遊女が、銀時が帰った後に嫌味を言いに月詠の部屋の前で待ち伏せていた。
「どういう意味じゃ」
「だってここは吉原よ?自分を売ってなんぼの世界じゃない。なのにいつも会話の相手ばかり。身体を求めようとしない」
「………」
事実故に、何も言えなかった。
「友人…そんなところなのよ。ふふ、月詠花魁も墜ちたものね」
その遊女は甲高く笑いながら去る。
「………」
女として見られていない。
それは遊女として、花魁としてあってはならない。
自身でもよく分からないふわふわと温かい心。
自身ではよく分かる花魁の使命。
「…わっちは、花魁……」
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