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「分からぬが…」
月詠は後ろからみた時の幾松の表情を思い出す。
「桂殿と言われた時の幾松は、嬉しそうじゃった」
月詠は微笑む。
「じゃ、そーゆーことなんだろ。それが一番だと思うんだよね、銀さんは」
「成程…。ではわっちはぬしに何をすれば?」
「そーだなー。話しでもすっか」
銀時は吉原ではないが、江戸に住んでいるらしい。
毎日家賃の取立てに追われて大変だとか、万事屋という何でも屋を営んでいるとか。
金がないのに何故ここに?
だからそれはヅラが無理矢理誘って来て、
フフッ、銀時甘党なのじゃな
ジャンプと糖分は俺の一部ですぅー
へー、そんで酒飲まない訳?
あぁ。一杯目から記憶がありんせん
銀時の話に時折相槌を打ち、可笑しくて思わず笑ってしまったり。
滅多にしない月詠自身の日常を話したり。
「(心がふわふわ、ふわふわするのう。まるで酔っているみたいじゃ)」
月詠にとって、楽しい一夜となった。
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