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「幾松、今日のお客は桂殿だよ」
「またあの男か…」
やれやれと溜め息をつく。
幾松は月詠と同期。
幼い頃から一緒に店を手伝っていたため、仲が良かった。
「桂殿はいつも幾松に逢いに来るのじゃな。何故に?」
「知らないよ。…ったく」
「そうか」
でも、何故だろう。
ぶっきらぼうな言い様とは裏腹に、後ろから見た幾松は心做しか嬉しそうだった。
「月詠は桂殿のご友人に酌をしてね」
「了解しんした」
今夜は幾松と月詠の二人で、お侍さんをお迎えする。
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