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日輪と月詠のやり取りに笑い声が上がる。
一人の遊女が月詠の隣に行き、笑みを浮かべた。
「これじゃ恋をしても気づかないんじゃない?」
「こい?」
「そう、恋。胸がきゅーっとして苦しくて」
別の遊女が月詠の肩に手を置く。
「いつもその殿方のことばかり考えてしまう」
色っぽい溜め息。
遊女達それぞれに想い人がいるらしい。
うっとりとした表情が物語っていた。
「さ、お喋りはこのくらいにして!お客さんが待ってるわ」
「「はぁーい」」
遊女達は立ち上がり、廊下へ出る。
「……鯉?」
月詠はあまりにもベタ過ぎる勘違いをしたまま、後に続いた。
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