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日本国最大を誇る江戸の遊郭、吉原。

昼は表立って活気は無いが、夜になるとその本性を現す。

心と身体に潤いを求めた男達が、女を買うのだ。


「にしても月詠は凄いよねー。若くしてこの人気。花魁街道まっしぐらで羨ましい!」


夕方になると遊女達は客を迎えるために化粧をし、きらびやかな着物に着替える。

禿は姉さまの身仕度ためにぱたぱたと走り回り、表では店へ呼び込みする声が飛び交っていた。


「加えてそのテクニック。何処で手に入れたのさ」


“ひのや”では遊女達が各々の準備をする傍ら、月詠について語り合っていた。


「わっちは何も」


話題の中心である本人は自慢することもなく、口に紅を引く。

月詠は店の看板娘。

その美しさ故に、彼女の噂を聞いてここを訪れる客も多いのだ。






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