7
「せ、先生!」
「ん?何じゃ」
沖田君がドアを閉めて数秒後、月詠先生の方に振り返る。
「今の言い方…私が喜ぶって…!」
「違うのか?」
「違くは、ない、ですけど…ってそーゆー問題ではなくって、まるで」
「まるで?」
次の言葉を言いかけて、私は気がついた。
月詠先生が微笑んでいることに。
「…いえ。何も……」
「フフッ」
悔しい。
月詠先生は何でも見透かしているような気がして、これ以上言っても墓穴を掘ってしまう。
私は再びポスターに視線を落とした。
「…フフッ、意地悪をしてしまったかのう」
「…いえ。大丈夫です。…何も聞かないんですか」
「何も?」
「私が沖田君のこと……先生気づいているから、あんな事言ったんですよね」
「ぬしらを見ていると、もどかしくてな。ちょっと茶々を入れなんした。だが、」
先生の視線を感じて、顔を上げる。
「話したくなれば、自ずと話し始める。聴いてほしくなる。それは
「ツッキーツッキー!居るアルか!さっきクラスでこんなでっかい虫いたネ!」
息を弾ませながら、保健室に飛び込んできた神楽ちゃん。
「神楽。寒いから閉めなんし」
いつもと変わらない表情で、先生は続けた。
「空。こんな時にありんす」
[ 22/41 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]