6
「沖田君…それ、何?」
「ばい〇んまんでさァ。見りゃ分かるでしょ」
「うーん…そうかぁ」
「何、俺のばいき〇まんに不満でもあるんですかィ」
「い、いや全然…!」
「ならペンでなぞって、色塗って下せェ」
どんなポスターになるんだろう。
そんなことを考えながら、ペンで沖田君の絵をなぞる。
「おー、これはヘドロの絵じゃな。なかなかリアリティ」
「ヘド…ふ、」
「先生違いやす。空。笑ったら殺す」
暫くすると、先生がポスターを覗いて呟いた。
言われてみると、ばいき〇まんよりヘドロに似てることに気がついた。
「…ご、ごめ…ふ、」
「ファック」
「何だ、ヘドロじゃないのか」
「もうこんな時間ですかィ」
「何か予定あるの?」
「塾」
「あー…そうなんだ。じゃあ、あと少し色塗りするだけだし、私やっておくよ」
「良いんですかィ?じゃ、お言葉に甘えて」
椅子にかけてあったコートを羽織り、エナメルバックを肩に掛ける。
「あとで空にお礼しなんし。きっと喜ぶじゃろう」
「え!あ」
「…まー、気が向いたら。じゃ、さよーならー」
意味有り気に微笑んだその顔を、何だか忘れられなかった。
[ 21/41 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]