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「今日渡す資料は…と」
椅子から立ち上がり、白衣を翻し、本棚へ向かう。
その姿を私は目で追った。
「これと、これに…」
月詠先生は、保健室の先生。
凛とした雰囲気で、テキパキと仕事をこなすキャリアウーマンなイメージ。
実際に怒るとすごく怖いと、噂で聞いたこともあるが。
「空。今日はこれを配ってほしい」
「分かりました」
普段は親身になって相談にものってくれると評判だ。
月詠先生は、とても優しい。
「今月のテーマはインフルエンザを予防するための呼びかけじゃったな」
「はい。ポスターづくりが良いかなって考えていました。話し合ってから決めますが」
「うむ。了解しんした。受験が終わったすぐに、なんだか申し訳ないな」
「大丈夫ですよ。皆協力してくれますから」
にこっと笑うと、月詠先生も口元を上げる。
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