3

 

「今日渡す資料は…と」


椅子から立ち上がり、白衣を翻し、本棚へ向かう。

その姿を私は目で追った。


「これと、これに…」


月詠先生は、保健室の先生。

凛とした雰囲気で、テキパキと仕事をこなすキャリアウーマンなイメージ。

実際に怒るとすごく怖いと、噂で聞いたこともあるが。


「空。今日はこれを配ってほしい」

「分かりました」


普段は親身になって相談にものってくれると評判だ。

月詠先生は、とても優しい。


「今月のテーマはインフルエンザを予防するための呼びかけじゃったな」

「はい。ポスターづくりが良いかなって考えていました。話し合ってから決めますが」

「うむ。了解しんした。受験が終わったすぐに、なんだか申し訳ないな」

「大丈夫ですよ。皆協力してくれますから」


にこっと笑うと、月詠先生も口元を上げる。





[ 18/41 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -