Last day


『三十になってもヤローがいなかったら、俺と結婚して下さい』

『…そうじゃな』


それは昨夜の出来事。


「…ふ、」


思い出すだけで顔が綻んでしまう。


「先輩、かわいかったなー」


らしくもないことを呟きつつ、スキップをしてしまいそうな程足取りは軽い。

だから、今日は先輩の彼氏が帰ってくるため部屋から退散したのにも関わらず、気持ちは晴れやか。

天気も良くて、尚良し。


「ただいまーっと」


たった一週間ぶりだというのに、自室が久々に感じる。

カーテンを開け、ベットに勢いよく倒れる。


「…、」


目を瞑ると、鮮明に蘇る。

先輩と過ごした一週間は、彼女と過ごした一年よりも遥かに明らかで。


「(次、いつ会えんの)」


サークルに行けば、いつだって先輩の姿はある。

しかし、それだけじゃきっと満足出来ないだろう。


「…、」


−月詠先輩は俺のことどう思ってる?


ブー!


「っ…!?…携帯、か」


ズボンのポケットの中で激しく繰り返される音に、身体が強張る。

ディプレイを見ると、一気に緊張が高まった。




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