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所謂、遠距離恋愛。
普通のカップルなら逢えない分、電話やメールで補おうとするが、銀八と月詠は違った。
月詠と同じ大学に編入するために、銀八は二年間必死に勉強しなければならない。
それを知っている月詠は連絡するのを控えた。
二年なんてあっという間だ、銀八に迷惑にならぬようにしなくてはと自分に言い聞かせた。
「でねー、今度一緒にランドに行くの」
「いーなぁ。わたしなんてバイトが忙しいから週末くらいしか落ち着いて逢えないし」
「そっかー…。ね、月詠は?」
「え?」
「彼とどうなのよ」
「特に…何もありんせん」
羨ましい。
楽しそうに話をする友人達が。
月詠は携帯の一番始めに登録してある番号を見る。
指が発信ボタンを何度押し掛けたことか。
銀八の顔が浮かぶ度に、月詠の想いは募っていった。
「…月詠から連絡こねーなァ…って!!何すんだよ!!」
銀八の頭を思い切り叩く。
「向こうも忙しいに決まってんだろ!」
「んなこたァ分かってーよ!!」
「いいから勉強しな!クソガキ!!」
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