Third day

 
 
カツッ、


「ん?」


足元に当たったのは、見慣れない時計。


「…先輩の家って、確か…」


ピンポーン、


「はい、……何か用か」

「そんなに警戒しなくてもいんじゃねーの。先輩」

「警戒はしておらぬ。何か用かと聞いておる」

「今何してたんですか?」

「特に何も。良いから早く用件を言いなんし!」


月詠先輩が苛々しているのが伝わる。

わざわざ届けに来たのに、そんな対応をされては何だか自分も腹立たしくなってくる。


ガチャ、


音がした方へ視線を移す。

3、4件先のドアが開いたらしい。


「あれって…同じ部活の、」


バンッ!


「…どうしたの?先輩」


急に手首を掴まれたと思えば、勢いよく家の中へ引き込まれた。


「ぬしがわっちの家の前に居るのを見られては面倒。只、それだけ」

「ふーん、あっそう。じゃ、お邪魔しまーす」

「は?ちょっ…待ちなんし!」


ズボンに手を突っ込み、先輩の前に差し出す。


「はい」

「え?…!わっちの、」

「俺の部屋にあった」

「わざわざこれを届けに来てくれたのか?」

「俺の家にあってもねェ」

「…ありがとう銀時」

「…先輩、このゲーム彼氏の?やってもいい?」


なんだか改めてお礼を言われると照れくさくて、話題を変えた。

しかし、先輩からの返事はなく。

振り返った俺の目に飛び込んで来たのは。


「…先輩ってば、」

「え、あぁ…好きにしなんし」


大切そうに、愛おしそうに時計を見つめる横顔。


「………」


持ってきたのは誰なんだよ。


「…先輩、お礼にキスして下さい」

「え、…んう、」


無理矢理奪った。

だって、俺にはそんな顔なんて、一生してくれないでしょう?





[ 37/41 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -