The day before

 
 
彼女について知っていること。

@学業優秀、容姿端麗、スポーツ万能(つまり、完璧な人だということ)。

A二年付き合っている彼氏がいること。

Bそして今、彼女は苛々しているということ。


「月詠さん。大丈夫ッスかー?」


卒業シーズン、先輩を送り出す会の幹事になったらしい月詠先輩。

店の手違いにより、部員の全員が座れない。

そして本来座るはずだった場所を乗っ取り、盛り上がっている他の部活。

用意していた記念のDVDは機械の不調で流れない。

厨房はあわただしく、お酒もなかなか回って来ない。


「…最悪じゃ」


カウンターに座り、独り言のように吐く先輩。


「…大丈夫な訳なかろう」


こんな状況下でも、部員が楽しんでいるのは酒のせい。

イチゴミルクを飲み干し、先輩の隣に腰掛ける。


「銀時。わっちはもう疲れてなんした」

「だろーな。お疲れさまッス」

「お疲れ」


カラン、とグラスを軽く鳴らす。


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