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思った以上に力を出せて、点数のボーダーラインを余裕で満たし。
大学で受けるテストも難なくこなし、彼女と一緒に春からキャンパスライフを。
そんなドラマみたいなことが起こらないかとを少しは期待していた訳で。
現実は、なかなか上手く行かない。
「D判定だな」
「…マジで?」
一次試験が終わると、自己採点をする。
その点数でもし大学を受けたらどのくらいの確率で合格するのかを見る。
つまり、ボーダーラインを越えているか、否か。
「先生〜冗談キツいッスよ〜」
「誰が冗談言うかボケ。D判定、つまり20%くらいだな」
「受けても」
「落ちる」
担任は銀八にはっきりと言い切った。
「俺ァここ以外行きたかねェ!!」
「教育大なら別にもあるだろ。こっちなら…B。うん、良いんじゃないか?」
パソコンのマウスでクリックし、別の大学を表示する。
「二年通って編入試験に合格すれば国立大に入れる。短大は国立。私立や浪人よりも金はかからん」
「へー…」
二年。
二年頑張れば月詠と同じ大学に行ける可能性がある。
「…そこ、受けます」
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